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探偵L・アイスランド編~秘密結社リヴァイアサン~(30)
探偵L・アイスランド編~秘密結社リヴァイアサン~(30)

 あれから、三か月の時が過ぎた……。
 アイスランドでは大規模な地震が起こり、ヴァトナ氷河が溶けて大洪水になったにも関わらず、世界はそれほど大きな関心をこの事柄に寄せたりはしなかった。
 そのことに対して、特別報道規制など敷かなくても、それを自然の神の怒り以外の何かであると疑うような人間は誰ひとりとしていなかったし――唯一、裏の事情に通じている者だけが、リヴァイアサンという名の超科学が生みだしたともいえる<神>の死を嘆き悲しんだという、ただそれだけだった。
 Lはラケルと約束通り結婚式を挙げ、また約束通り粘着質に再び初夜をやり直したので、彼がクローン人間である疑いについては、今では冗談の種にさえなっているくらいだった。それは何故かといえば、ラケルの目から見て、Lはある意味180度人間が変わってしまっていたからだ。
 朝は早起きし、おそろしく広い畑を耕したり種を蒔いたり、苗を植えたり……彼はリヴァイアサンについての事後処理はすべて、優秀な探偵の弟子たちに任せきりにし、今ではすっかり隠遁生活を送っているような具合だった。
 L自身、最初はそんなつもりなど毛頭なく、自分はいつまでも天職である探偵であり続けるだろうと思っていた。だがアイスランドの地下にある基地――エデンから戻って以来、決定的に彼の中で<何か>が変化してしまっていた。それが一体何で、どういうことなのかというのは、理屈屋のLにも、今もってうまく説明のできないことではあるけれど。
 ただ、いい意味でとても頭がぼーっとするのだ。そして手にまめが出来るくらい、畑を耕したり、何も考えずにそこへ種を蒔いたりビニールハウスで育てた苗を植えたりするのが、とても楽しい。そしておやつの時や食事時には、UV対策をしっかり施して、白い帽子をかぶったラケルと、これまた自分が日曜大工で作ったベンチへ腰かけ、美味しいスイーツを食べたり……何やら年金暮らしのおじいさんのようなことばかりしている。
 これまでずっと寝る間も惜しんで働きどおしだったから、リヴァイアサンという組織やエデンという地下コロニーがなくなったことにより、気が抜けてしまったそのせいだろうと、ワタリはそんなふうにLに言ったが――(果たして本当にそうだろうか?)と、L自身は疑問に思う。
 ただ、自分の心の奥底には、マグマ溜まりのような強くて深い情熱の塊が眠っていることだけはわかるのだ。それはカインやアンドロイドのラファエルが失い、そして二度と取り戻すことの出来なかった生命の原石とも呼べるもので……その存在の息づく声を聴き、脈打つ鼓動を静かに聴くことのできる今の生活を、Lはこの上もなく<幸福>だと感じる。自分を取り巻く外の自然と、内側に眠るその自然とが調和して、時々素晴らしい音楽を奏でてくれることさえある。
 Lはそこに<永遠>に続く扉が開くのを、はっきりと知覚することが出来た。そしてその扉の先には、カインもアンドロイドのラファエルも、自分のせいで死んだティグランも、彼がリヴァイアサンという組織を追う過程で亡くなった多くの人たち、すべての人たちが存在している。
 アイスランドのオーロラの輝く空の下でLが聴いた声――それは決して感傷的なものでもなければ、幻聴でもなかった。何故なら、耳を澄ませば今も、その扉の向こうで永遠の世界の住人たちが、彼に手を振ってこう言っているのがLにはわかるからだ。
(幸せになりなさい!幸せに、幸せに、ただ幸せに……!!)
 Lは人の<幸福>ということを考える時に、自分のことはあまりその勘定に入れたことが、これまでほとんどなかった。そして、自分が探偵として活動を続けることが、少なからず社会の役に立ち、人の幸福にも貢献するものだと信じてこれまで生きてきたのだ。もちろん、誰にも解くことが出来ないパズルを解く時の、スリルを味わうことが出来る面白さがついてくるという意味で、それは一石二鳥であると思っていたのも本当のことだ。
 けれど今――ただがむしゃらにリヴァイアサンという組織を追い続けた、十五年もの歳月を振り返ってみて、「誰かの幸福に繋がることだし、自分の推理力も活用できて一石二鳥だから」という自分の捜査の動機というものは傲慢で不純なものだったと、いまさらながらLはそう認めざるをえない。もちろんそこには「それは自分にしか出来ないことだし、ある意味人類の科学技術が<L>という探偵を生みだしたともいえる以上――社会の益となるよう働き続けるということが自分の義務である」との自負もあった。
 だが、カインが「正しい生き方をしている人間をコンピューターで見つけては、その行動をチェックし奇跡を贈ることに最後には絶望を覚えた」とラファエルが言ったように……自分にはもう、そのような考えを支えるだけの、探偵としての理念がないのではないかと、Lにはそんなふうに思えて仕方なかった。
<リヴァイアサン>という生きた神の科学研究所が壊滅したことを知った世界各国の裏の黒幕たちは、まるで一致団結したとでもいうように、まずはICPOの影のトップの座から、<L>を引きずり下ろしにかかり、彼はこれまで使用してきたあらゆる警察機関の恩恵を受けられなくなってしまっていたのだが――Lはそんなことに失望を覚えるというようなことはまったくなかった。というより、もともとICPOの連中とはそのような関係であったとも言えるし、何より十三歳の時、何も足がかりのない状態から探偵としてやってきたとの自負もある。もしもう一度探偵として世界のトップに返り咲きたいと思うなら、そのような既得権益に頼らずとも、Lは自分ひとりでやっていく自信だけは十分にあったのだ。
 けれど今――メロは「他にやりたいことがある」と言って<L>の座を継ぐことを放棄し、実質的にニアとギルドのトップであるセスがふたりで組んで<L>の称号を使っている状態の今……彼らふたりに任せてさえおけば、探偵<L>の名前が地に落ちることは決してないだろうと、L自身は確信していた。もちろん、何かの折にニアから相談を受けることがLにはあるし、何より「メロにしか出来ない仕事」を頼む時には、L経由でメロに依頼するといったこともあるとはいえ――自分の意志を継いでくれる若い人たちにあとのことは任せておいて間違いないだろうと、Lはそんなふうにじじむさく考えるようにさえなっていたのだ。ICPOという、表の世界の正義と秩序の象徴から縁を切られた今、<L>が殺し屋ギルドという悪の組織の裏情報を元に活躍しているという現在の状況は、ある意味奇妙といえば奇妙なことではあったけれど……それでも、「毒をもって毒を制す」というやり方のほうが、正攻法に表から善や正義をごり押しするより、むしろ世界をより良い方向へ導けるというのも本当のことだった。
(まあ、この世で起きる様々な事件については、可愛い探偵の弟子たちに任せるにしても……わたしはこれから、どうしましょうかね)
 麦藁帽子をかぶり直し、鍬で新たに土地を開墾しながら、Lは噴きだす首筋の汗を、タオルでぬぐいながらそう考える。そもそもLは、スイーツをその主食としているので、今でも十分に広いウィンチェスターの畑を、これ以上広げたところでどうにもならないと、自分でもよくわかっている。畑にはすでにじゃがいもやたまねぎ、にんじん、カブ、かぼちゃ、いんげんなどなど……Lが自分で食べるためのものではない作物が、秋の収穫に向けてどんどん育ってきている。このうちの一部は、近くにあるワイミーズハウスの子供たちが植えたもので、今回のこの収穫が無事うまくいったとしたら――その野菜や果物などはすべて、彼らの給食にしてもらおうというのがLの考えだった。
「えるーーっ!!冷えたレモネードを持ってきたから、少し休まない!?」
 白いワンピースを着た人影が、光を背にして、顔を上げたLの瞳に眩しく映る。彼は汗でべとべとの白い長Tシャツに、泥のはねた紺のジーンズという格好をしていて――ひどい猫背の不恰好な姿勢のまま、鍬をふるっていたわけだが、その手を一度休め、愛する人のいる方向へのそのそ歩いていく。
「ああ、喉が渇いて死にそうです」
 言いながら、Lはラケルの手渡してくれた、よく冷えたレモネードをごきゅごきゅ飲み干していく。そして彼女と連れ立って大きな菩提樹の根元まで歩いていくと、そこでストロベリージャムやマーマレードの挟まったパンをむしゃむしゃと夢中になって食べた。
 ラケルはそんなLの横で、バスケットに入れてきた新しいタオルを出しながら、彼の背中に手を突っこみ、汗を拭いてあげたりしている。
「もう十分畑も広いと思うけど……まだこれ以上広くするつもりなの?」
 無我夢中にがっつくようにサンドイッチを食べていたLが、人心地つくと、今度はフローズン・フルーツをラケルは彼に差しだす。するとLはマンゴー味のそれを、嬉しそうに体を左右に振りながら食べていた。
「しょうですねえ……もぐもぐ。わたしひとりと、あなたの手伝いがある程度では、これ以上手を広げても仕方ないってわかってるんですけど、まさか作物を育てるということが、こんなに楽しくて面白いとは知りませんでしたので……畑いじりや土いじりをしていると、時々頭が真っ白になって自分が無になれているように感じる一瞬があるんです。いってみればその一瞬のためにまた畑を耕したくなるというか……もっともわたしにも、自分が食べるためのものでない作物のために、なんでこんな苦労をしているのか、合理的に説明はつかないんですけどね。まあ、暫くはこれをしているのが楽しいので、もう少しやってみたいと思っています」
「そう。手伝える時にはわたしも手伝うから、いつでも携帯で呼んでね。そういえばさっきビニールハウスでイチゴ摘みをしてたら……ワイミーズハウスの子がアベルさんはいませんかって来てたのよ。こっちのほうへ来なかった?」
「いえ、来てませんね。というよりその子は、カイル……いえ、ワイミーズハウスでは<K>ですか。その子だったんじゃないですか?」
「うん、そう。なんでもね、新種の薔薇を開発したいから、温室の一部を貸してほしいんですって。あとでアベルさんにも聞いてみるけど、たぶんいいって言ってくれると思うわよって言っちゃった。そのくらい、べつにいいわよね?」
「まあ、べつに構いませんが……あの子は将来植物学者になるのが夢みたいですから、将来の学者先生の役に立てるのであればお安い御用ですよ。ところで、ラケル。子供を一ダース以上作るという我々の計画はどうなっていますか?」
「えーと、それが……」と、ラケルは一瞬顔を曇らせている。「あの、わたしの勘違いだったみたい。生理がちょっと遅れてきてたっていうだけで、今朝、その……それがあって」
「そうですか。ではまた一週間後が楽しみです」
 頬を赤く染めているラケルに向かって、Lは彼女に自分の麦藁帽子をのせた。そしてどこか不敵な顔で微笑むと、「どっこらしょ」といかにもじじむさく腰を上げ、再び野良仕事へ取りかかる。
「今日の晩ごはんは、えるの好きなイチゴずくしのフルコースよぉぉっ!!」
 最後にそうLに向かって叫び、ラケルはバスケットを手にして城館のほうへ戻っていく。まるで嬉しそうにスキップする少女のような後ろ姿の彼女を見て、Lはまた笑いながら首にかけたタオルで汗を拭った。
 ――アイスランドから戻ってきて以来、Lは何故か自分の子供が欲しくなっていた。果たしてその心境の変化といったものを、どう説明したらいいのか、彼自身にもよくわからない。少なくとも、ずっと前まではこう思っていた……自分の呪われた遺伝子を持つ子孫など誕生してはいけないし、ゆえに自分は生涯独身でいようと。けれど人生というのは本当にわからないもので、自分との間に子供がいてもいいという女性が現れてくれたのだ。
(こういうのを、約67億分の一の奇跡というんでしょうかねえ)と、あらためてLはしみじみとそう感じる。
 自分の遺伝子がもし仮に呪われたものであったにせよ、ラケルの遺伝子と自分のそれが混ざりあうことにより、その呪いは解けて清められ、祝福されたものになるだろうと、Lは漠然と信じていた。そして自分の愛する人との間に新しい生命を授かることは――それはまさに『奇蹟』としか言いようのないことだと、そう強く感じる。
 つまるところ、物事というのは難しく考えなくても至ってシンプルなものなのだ。人間は大地を離れては生きていけないとよく言うが、<真理>とか<真実>というのは、一度知ってしまえば「ああ、そんなことか」というようなことである場合が極めて多い。
 カイン=ローライトが、万能といえる<神>の力を手にしていながら、最後にはやはり母親の愛情に帰結したように――母なる大地の力、ここから離れては人間は生きていけないのだと、Lは新しく開墾した土地から、いばらやあざみを取り除きながら考える。
エデンのマザーコンピューターである<リリス>のICチップは今、ワタリが厳重に管理をしているものの、いつか本当に人間がその愚かさから核戦争を起こした時には、彼女自身が言ったとおり、人間には<リリス>が必要になるだろうかと、Lは思う。科学の持つ力の特性として、「一度<そうなる>ともう元には戻れない」という性質があるが、少なくとも彼女には今は眠り続けてもらうしかないだろう――そして、いつまでも彼女の力がまったく必要のない平和な世の中が続くことを、Lとしては願うばかりだった。
 そうなのだ。Lは今、十五年という自分の探偵生活を振り返ってみて、ただがむしゃらに走り続けていたあの頃のほうが、ある意味では楽ではなかったかという気持ちになることがたまにある。何故なら、自分の命そのものが懸かっているという大義名分を盾に、あらゆる言い訳がその時には可能であったからだ。けれど今、とても平和で幸せな身分になってみると――不思議と、この状態を維持し続けることのほうが遥かに難しいことではないかと気づく。何より、平和を保つこと、幸せを保つことには本当の意味での人間としての<力>が必要であるからだ。
「アベルさあぁぁん!!」
 スケッチブックを片手に、じゃがいも畑の向こうから、ひとりの少年が駆けてくるのを見て、Lはまた眩しそうに目を細める。<K>こと、カイルという少年は、今ワイミーズハウスでトップに立っている子供だったが、彼は花や草木が大好きで、Lの昆虫コレクションのある部屋を見てからは、その昆虫の絵をスケッチしに、よくウィンチェスターの城館へ遊びにくるのだった。
「僕ねえ、いつか新種の薔薇を自分のこの手で育ててみたいと思ってるんだけど、その時にはアベルさんに、名前をつける権利をあげてもいいよ」
 早めに仕事を切り上げて、スレート葺きの屋根の城館へ向かっていると、カイルはLと並んで歩きながら不意にそんなことを言った。
「そうですか。じゃあ……その時には、『ローライト』ってその薔薇に名づけてくれませんか?お願いします」
「ローライト?何かその言葉には、特別な意味でもあるの、アベルさん」
「ええ……」と、Lは無邪気に笑うカイルに向かって微笑み返す。彼はどこか顔立ちが、彼の知るもうひとりの<K>に似ているのが不思議だった。「その名前は、わたしにとって本当に特別な意味を持っています。いつか、あなたがもっと大きくなった時にでも、薔薇の名前の由来についてお話できるといいのですが……いつかあなたがその夢を叶えたら、きっと教えてあげますよ」
「ふうん。なんだか謎めいていて、面白そうだね。僕、絶対に忘れないでそのこと、大人になってからも覚えてるよ!」
 偶然、途中の花畑で、食卓に飾るための花を摘んでいたラケルと一緒になり、Lとラケル、それにカイルは、親子のように三人並んで歩いていった。
 まるで天国のように花の咲き乱れる、イギリスの六月を背景にしながら……。



     終わり





   ~メロとニア、そして超能力を持つ子供たちのその後について~

 メロ=表の世界では、F1ドライバーとしてカリスマ的人気を誇るレーサーだが、裏の世界ではエラルド・コイルという探偵の称号を持っている。その他ダカール・ラリーの王者としても広くその名が知れ渡るようになるが、ある日忽然と表の世界から姿を消す。その後の彼の消息については誰も足取りを知る者はないが、おそらく再び探偵稼業に戻ったのであろう。籍は入れていないが、有名宝飾デザイナーとの間に一子あり。

 ニア=元殺し屋ギルドのトップであるセスと組み、現在も<L>として活動中。一度はICPOの影のトップの座を追われた<L>ではあるが、今では昔と変わらぬ権威を取り戻すに至っている。その後背は伸びたが、偏食家なのは相変わらず。ジェバンニは彼のお陰でFBIの長官にまで上りつめるも、政治的陰謀に巻きこまれてのちに辞職。最後まで器用貧乏で終わった彼だが、リドナーとはラブラブな関係を今も保っているようだ。

 セス=面倒くさがりながらも、ギルドのトップとしての職務をその後も長く継続し続ける。ニアとは終生に渡って良きパートナーであったと言えるが、本人同士は絶対にそのことを認めない。ニア同様、生涯に渡って独身を貫く。享年40歳。

 ボー=ミュンヘン音楽大学卒業後、バイエルン国立歌劇場でテノール歌手としてデビュー。ヴェルディ・プッチーニなどのイタリアオペラ、ワーグナーなどのドイツオペラ、その他フランスオペラにも幅広いレパートリーを持ち、ポスト三大テノール歌手としての呼び名を高める。晩年には指揮者、歌劇場芸術監督としても活躍。彼の歌声は女性の心と魂をとろかすほどの威力を持つと称えられ、声量・技術・人柄ともに世界中の人々から愛された。
ソプラノ歌手の細君との間に一男一女の子供あり。

 モーヴ=画壇で彼の名を知らぬ者はないと言われるほどの傑人ではあるが、本人はむしろ名声を怖れて作品のスタイルを変えては、異なる名前で絵画や彫刻作品を制作していると言われる。延命の薬の服用を拒んだ彼ではあるが、のちにセスが食事にこっそりそれを混ぜていたことが判明。「いつまでも気づかない君が馬鹿なんだよ」と笑われる。
 画家のリンダ=デュウェインの孫と展覧会で出会って結婚。彼はピカソと同じ年齢まで長生きし、たくさんの子供にも恵まれた。

 エヴァ=NPO<ユグドラシルの会>の代表。この会の後ろ盾としてワイミー財団が強力なバックアップをしてくれたお陰で、世界中のあらゆる国々の貧困層の人々を助けてまわる。薬の投与によっても彼女のヒーリング能力は失われなかったため、人からはわからぬように時々隠れて奇蹟を起こす。正式なカトリックの修道女ではないが、神に終身誓願を立て、実り多い豊かな人生を終える。

 ルー=数学の七大難問と言われるもののひとつを解き、25歳の時に数学のノーベル賞であるフィールズ賞を受賞する。終生に渡って「数学の魔法使い」の名前を欲しいままにするが、数学界では「魔女」と仇名され、以後様々な論争に巻きこまれるようになる。晩年近くになって、ノーベル物理学賞を二度授与されることになるなど、ルースリア=リーデイルの名前は歴史に刻みこまれて今日も消えることはない。

 ラス=宝飾デザイナーとして有名になるが、その後服飾業界にも手を広げ、『ラクロス』というブランド名は世界中の人々にとって耳慣れたものとなる。本人は現代のココ・シャネルという呼び名を嫌っているが、晩年にはモデル業界の重鎮として誰からも一目置かれる存在となる。
 F1ドライバーの恋人との間に娘がひとりあり。

 ラファ=変人として有名な、動物行動学者。同時に、マイクロソフトに対抗しうるほどのシェアを獲得しているソフト・ウェア会社の会長。業界における彼の登場はセンセーショナルなものだったが、それは私財を投じて動物を保護するための大規模な事業を計画するなど、彼自身の奇人マジックが一般の人々の心に訴えたからでもあると、経済学者は分析している。環境問題にも熱心に取り組む事業家で、温暖化を防止するためのプロジェクトに赤字ギリギリの寄付を行っていることでも有名。世界を牽引するリーダーシップをとれる人物として、各界から注目の集まる時代の寵児である。

 L&ラケル=今もウィンチェスターの城館で仲良く静かに暮らしている。子供は一ダースではなく、ひとりしか生まれなかったようだが、パパと瓜ふたつと評判の男の子に、ワタリはでれでれらしい。
L自身は裏の事情通として、今でも独自の活動を続けているが、<L>の称号はニアに譲ったために、今は別の名前で探偵として動いているようだ。
 愛妻家で子煩悩なLは、何より家族が一番というある意味平凡な家庭人におさまったとも言えるが――幸せというものは多くの場合、平凡さというものと表裏をなしているものである。
 願わくば、Lにとってのこの幸福が永遠に続きますように……。



     終わり




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【2008/10/03 16:01 】
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【2013/01/25 06:56】
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