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探偵L・ロシア編、第Ⅴ章 アスラン・アファナシェフ
探偵L・ロシア編、第Ⅴ章 アスラン・アファナシェフ

       <金のりんご>(コーカサス民話)
むかしむかし、あるところにウィスラフ王という名の王さまがおり、この王さまには三人の王子さまがいました。そしてこのウィスラフ王の宮殿にはこの世にふたつとない素晴らしい園があり、そこには珍しいたくさんの木々が生い茂る中に、金色の実をつけたリンゴの木があったのでした。
 ところがいつの頃からか、ウィスラフ王のこの園に火の鳥が飛んできて――金色の羽根に東洋の水晶のような目をした、とても美しい鳥でした――毎晩のようにウィスラフ王お気に入りの金のリンゴの実をついばんでいってしまいます。
 ウィスラフ王は自分が大切にしているリンゴの実が火の鳥に次々と食べられてゆくのがつらくてならず、三人の王子さまたちを呼ぶと、こう言いました。
「いとしい息子たちよ。おまえたちの中で、わしの園にやってくる火の鳥を捕まえることのできる者はいないか。火の鳥を生け捕りにした者に、わしの命のある間は国の半分を、死んだのちは国のすべてを譲り渡すことにしよう」
 すると王子さまたちは声を揃えて、
「お父上、火の鳥はきっとわたしたちの手で生け捕りにしてみせます」
 と勇ましく誓ったのでした。
 その夜はまず第一王子が園の見張りにつくことになり、火の鳥が実をついばみにくるという、金のリンゴの木の下に座りこみました。ところが、いつの間にかうとうとと眠りこんでしまい、火の鳥がきてリンゴの実をいくつもついばんでいったのに、少しも気がつかなかったのでした。
 夜が明けると、ウィスラフ王は早速第一王子を呼んで尋ねました。
「いとしい息子よ。で、火の鳥を見たか?」
「いいえ、お父上。夕べは火の鳥はあらわれませんでした」
 二日目の夜は第二王子が園の見張りにつきました。ところが、リンゴの木の下に座って一時間待ち、二時間待つうち、いつの間にやら眠りこんでしまい、火の鳥がきてリンゴの実を食べていったことに、第一王子と同じく、少しも気づかなかったのでした。
 夜が明けると、ウィスラフ王は第二王子を呼んで尋ねました。
「いとしい息子よ。おまえは火の鳥を見たのか」
 すると第二王子は、
「お父上、昨晩は火の鳥はきませんでした」
 と答えました。
 三日目の夜は第三王子が見張りに出る番でした。リンゴの木の下に座って一時間待ち、二時間待ち、三時間待つと、突然園が、まるでたくさんの明かりに照らされたように、ぱっと明るくなって、火の鳥が飛んできました。火の鳥は金のリンゴの木にとまり、その黄金の実をつつきはじめました。
 第三王子は火の鳥にそっと忍び寄りますと、その金色に輝く尻尾をむんずと掴みました。ところが火の鳥は三番目の王子さまの手をするりとすり抜けて、逃げていってしまい、王子さまの手の中にはたった一本の尾羽根だけが残されることになりました。それだけは王子さまがしっかりとつかんで離さなかったからです。
 ウィスラフ王は末息子がたとえ一枚とはいえ、火の鳥の羽根を手に入れてくれたので、それはそれは大喜びでした。この羽根は不思議な羽根で、真っ暗な部屋に持って入るときらきらと光って、まるで明かりがたくさん灯っているみたいに、部屋中が明るくなりました。ウィスラフ王はこの羽根を自分の書斎に置いて、大切にしまっておきました。
 ところが、このことがあってからというもの、火の鳥はぱたりと園に姿を見せなくなってしまったのです。
 ウィスラフ王は三人の王子さまたちを呼んで言いました。
「いとしい息子たちよ。わしはおまえたちを祝福して送りだそう。火の鳥を探しに出かけていって、生け捕りにしてわしのところへ持って帰るのだ。先にも約束したとおり、火の鳥を捕ってきた者には国をとらすぞ」
 一番目の王子さまと二番目の王子さまは、弟の王子が火の鳥の羽根をうまく抜きとったのを妬んでいたので、今度こそはと意気ごんで、王さまの許しを得ると、火の鳥を探しに出かけてゆきました。
 ところが王さまは、末息子の三番目の王子さまにだけは、旅にでることをすぐにはお許しにならず、こう言いました。
「いとしい息子よ、可愛い我が子よ。おまえはまだ若い。長い、つらい旅にでるのはまだ早い。何もおまえまでわたしの元を離れることはないではないか。おまえがいってしまったら、わしの手元には誰もいなくなってしまう。わしも年だ。もしおまえたちのいない間にわしが神に召されるようなことにでもなれば、誰がわしに代わってこの国を治めるのじゃ。暴動や、意見の食い違いが生じた時、それを鎮める者がいないではないか。敵がこの国に攻めこんできても、我が軍勢を率いる者がいないではないか」
 ウィスラフ王は三番目の王子さまをなんとか引き留めようとしたのですが、いくら言っても末の王子は聞き入れませんでした。とうとう王子さまは王さまの許しをもらって、一頭の馬を選び、それに乗って旅へと出かけてゆきました。どっちへ行けばいいのか、自分でもわからぬまま、第三王子は馬を走らせてゆきます。
 さて、どれだけいったことか、語りはとんとん進んでゆきますが、ことはそう簡単ではありません。やがて王子さまは青々とした草原へやってきたのですが、そこには道しるべが立っていて、こう書いてありました。

       『この先まっすぐ進む者は飢えと寒さに襲われる。
        右手に進む者は自分は元気でいられるが、馬が死ぬ。
        左手に進む者は自分は殺されるが、馬は無事。』

 これを読んだ王子さまは、たとえ馬が死んでも自分が無事なら、今に代わりの馬を手に入れることもできようと考えて、右手に進んでゆきました。
 それから一日たち、二日たち、三日目のこと、大きな灰色オオカミが不意に飛びだしてきてこう言いました。
「おい、そこの若者。道しるべに馬が死ぬと書いてあるのを読んでおきながら、何故こっちへきた」
 言うが早いか、オオカミは王子さまの馬に襲いかかって、真っ二つに引き裂き、姿を消してしまいました。
 王子さまは馬の死を悲しんで、はらはら涙を流しながら歩きだしました。丸一日歩きどおしですっかりくたびれてしまい、ここいらで一休みしたいと思った時のことです。灰色オオカミがひょっこり現れてこう言いました。
「気の毒に、王子さま。そんなにくたびれて。わたしがおまえの馬を食ってしまったばっかりに、可哀想なことをした。よし、わしの背に乗せてやろう。ところで、どこへ、なんの用があっていくんだい」
 王子さまが行き先を告げると、灰色オオカミは王子さまを乗せて馬よりも速く駆けだし、夜になって、あまり高くない石垣にまで辿り着きました。
「さあ、王子さま。降りてこの石垣を乗り越えるんだ。壁の向こうに園があって、そこに火の鳥が金の籠に入れられている。火の鳥をとる時、金の籠には手を触れるな。金の籠をとったらたちまち捕まってしまうんだ」
 それで王子さまは石垣を乗り越えて園に忍びこみ、金の籠に入っている火の鳥を見つけました。
「なんと美しい」
 王子さまは思わずうっとりと見とれてしまいました。籠の中から火の鳥をとりだして引き返そうとしたものの、
「籠がなくては、とった鳥を入れるものがないじゃないか」
 と思い直しました。そして金の籠に手をかけた途端、ガラ、ガラッと大きな音が園中に響き渡ったのでした。金の籠に糸が張ってあったのです。番人たちがすぐに目を覚まし、園に飛んできて、火の鳥を持っている王子さまのことを取り押さえると、ドルマト王のところへ引き立ててゆきました。ドルマト王はかんかんに怒って、王子さまのことを怒鳴りつけました。
「盗みなど働いて、よくも恥かしくないものだ。おまえは何者だ?どこの国からやってきた、誰の息子なのだ?」
「わたしはウィスラフ王の国の者で、王の三番目の息子です。あなたの火の鳥が毎夜わたしたちの園へやってきて、父のお気に入りの金のリンゴをとってゆくので、リンゴの木一本ほとんど駄目になってしまいました。だから父は火の鳥を探して連れ帰るようにと、わたしを寄こしたのです」
「そうであったか。だが王子よ、おまえのしたことはよくない。おまえが真っ直ぐにわたしのところへきて頼んでいたら、わたしは慎んで火の鳥を渡してやったものを。だがこうなってはやむをえぬ。おまえがわたしの国で卑しい振るまいをしたことを国中に知らせる。だが王子よ、もしおまえがわたしのために働いてくれるなら――遠い遠い国へいって、アフロン王のところから金のたてがみをした馬を手に入れてきてくれるなら、わたしはおまえの犯した罪を許し、火の鳥をおまえにやろうではないか。それができぬとあらば、おまえは卑しい盗人だと国中に触れさせる」
 王子さまは金色のたてがみをした馬をきっと手に入れてくるからと誓って、ドルマト王の元を去りました。王子さまがすっかりしょげて灰色オオカミにドルマト王の言葉を伝えると、灰色オオカミが言いました。
「なんてことをしたんだ、王子さま。何故わたしの言ったことを聞かないで、籠をとったんだ」
「わたしが悪かった」
 王子さまがあやまると、灰色オオカミが言いました。
「まあ、いいさ。わたしの背中に乗りなさい。わたしが連れていってやろう」
 王子さまが跨ると、灰色オオカミはまるで矢のような速さで駆けだしました。どれだけ走ったことか、夜になってやっとアフロン王の国へやってきました。白い石造りの、王さまの馬小屋に着くと、灰色オオカミが言いました。
「馬小屋の番人たちはぐっすり眠っている。さあ、王子さま。この白い石造りの馬小屋へ入っていって、金のたてがみをした馬をとってくるんだ。ただし壁に掛かっている金のくつわには手をだすな。さもないと困ったことになる」
 早速王子さまは馬小屋へ入ってゆきました。ところが馬をとっていざ戻ろうとした時のことです。壁に金のくつわが下がっているのが目にとまり、あんまり素晴らしいのでつい手にとってしまいました。とその途端、ガラ、ガラッと大きな音が馬小屋中に響き渡ったのでした。くつわに糸が仕掛けてあったのです。馬小屋の番人たちがすぐに目を覚まして飛んできて、王子さまのことを引っ捕らえ、アフロン王の元へと引っ張ってゆきました。
「こら、そこの若者。おまえはどこの国の者で、誰の息子なのだ?」
「わたしはウィスラフ王の国の者で、王の三番目の息子です」
 王子さまがそう答えてわけを話すと、アフロン王が言いました。
「王子よ、これが勇者のすることか。真っ直ぐわたしの元へきて頼めば、金のたてがみの馬を譲ってやったものを。こうなったからは、おまえがわたしの国でけしからぬ振るまいをしたことを国中に触れるが、よいか。だが王子よ、よく聞け。もしおまえがわたしのためにひと働きする気になり、遠い遠い国へ出かけていって、わたしがかねてから思いを寄せている、麗しのエレーナ姫を連れてきてくれるなら、おまえの犯した罪を許してやろうではないか。それができぬなら、おまえが恥知らずの盗人だということを国中に触れることになろう」
 そんなわけで王子さまは、麗しのエレーナ姫をきっと連れてきますとアフロン王に誓って、王さまの宮殿をでました。そしてはらはら涙を流し、灰色のオオカミのところに戻ってこれまでのことを残らず話したのでした。
 すると灰色オオカミが言いました。
「なんてことをしたんだ、王子さま。何故わたしの言ったことを聞かないで、金のくつわをとったりしたんだ」
「わたしが悪かった」
「まあ、いいさ。わたしの背中に乗るがいい。わたしが連れていってやろう」
 王子さまが灰色オオカミの背中に乗ると、オオカミは矢よりも速く駆け、まるでお伽話の中のように駆けて、いくらもしないうちに麗しのエレーナ姫の国へ着きました。
 金の柵が素晴らしい園をとり巻いているところまでくると、灰色オオカミが王子さまに言いました。
「さあ、王子さま、降りてくれ。いまきた道を引き返して、野原に立っている、青々と繁るカシの木の下でわたしを待っていてくれ」
 王子さまがいってしまうと、灰色オオカミは金の柵のそばに座りこんで、麗しのエレーナ姫が園に散歩にでてくるのを待ちました。
 さてその日の夕方、太陽が西に傾きはじめた頃、涼しくなったので、麗しのエレーナ姫が乳母やおつきの者を連れて、園に散歩にでてきました。姫が園にでて灰色オオカミのひそんでいるそばへいくと、いきなり灰色オオカミが柵を飛びこえて園に入り、麗しのエレーナ姫をさらって、一目散に逃げだしました。そして王子さまの待っているカシの木の下まで駆けてきたのでした。
「王子さま、わたしの背中に乗るんだ」
 こうして灰色オオカミは王子さまとエレーナ姫を乗せ、ふたりをアフロン王の国へと運んでゆきました。
 麗しのエレーナ姫と一緒に園を散歩していた乳母やおつきの者たちはすぐに宮殿にとって返し、追っ手をだして灰色オオカミを追わせました。しかし追っ手はいくら追いかけても追いつけず、とうとう諦めて引き返してしまったのでした。
 ところで王子さまは美しいエレーナ姫と一緒にオオカミの背に乗っているうちに、エレーナ姫のことをすっかり好きになり、エレーナ姫のほうでも王子さまのことを好きになってしまいました。でも、アフロン王の国へ着いたら美しいエレーナ姫を宮殿へ連れていって、王さまに渡さなければなりません。王子さまはそう思うと悲しくなって、涙がこぼれました。
「何を泣いているんだい、王子さま」
 灰色オオカミが聞くと、王子さまが言いました。
「我が友、灰色オオカミよ、聞いてくれ。泣かずにいられないわけを。心底からエレーナ姫を好きになってしまったのに、金のたてがみをした馬と引きかえに姫をアフロン王に渡さねばならん。姫を渡さないと、アフロン王は国中にわたしの恥を言いふらす」
 すると灰色オオカミが言いました。
「王子さま、わたしはこれまでもおまえのために色々尽くしてきたが、今度も力になってやろう。いいかい、王子さま。わたしが麗しのエレーナ姫になりすますから、わたしをアフロン王のところへ連れていって、代わりに金のたてがみをした馬をもらうんだ。王はわたしのことを本物の姫だと思いこむ。その隙におまえは金のたてがみをした馬に乗って、遠くへ逃げてくれ。わたしはアフロン王に野原へ散歩に出てほしいと言って頼みこんで、王が乳母やおつきの者をつけて出してくれたら野原へいく。そうしたらおまえはわたしのことを思いだしてくれ。すぐにわたしはまたおまえのところへ戻る」
 灰色オオカミはそう言うと、地面にとんと体をぶつけて、麗しのエレーナ姫になりました。これならどこからどう見ても、偽物とは思えません。そこで王子さまは本物の麗しのエレーナ姫に町外れで待っているように言い、自分はエレーナ姫になりすました灰色オオカミを連れて、アフロン王の宮殿へといきました。
 王子さまがアフロン王に偽物のエレーナ姫をさしだすと、王はかねてより望みのものを手に入れて大喜びでした。それが偽物とは思いもせず、代わりに金のたてがみをした馬を王子さまにくれました。
 王子さまはその馬に跨って町外れまでくると、麗しのエレーナ姫を乗せて、ドルマト王の国を目指して駆けだしました。
 さて、麗しのエレーナ姫になりすました灰色オオカミはというと、アフロン王のところで一日、二日、三日すごし、四日目になってアフロン王に、気晴らしに野原へ散歩にいかせてほしいと頼みました。するとアフロン王は、
「おお、そうか。わたしの美しいエレーナ姫。そなたのためならなんでもしてやろう。野原へ散歩にでるのもよかろう」
 と言って、すぐに乳母やおつきの者たちに言いつけて姫のおともをさせ、野原へ散歩にいかせました。
 ところで王子さまのほうはというと、エレーナ姫とふたりで旅を続けており、話に夢中で灰色オオカミのことなどすっかり忘れていました。ところがふと、
「おや、わたしの灰色オオカミはどこだろう」
 と思った途端、どこからか灰色オオカミが現れて王子さまの前に立って、言いました。
「さあ、王子さまはわたしの背に乗ってくれ。美しい姫はそのまま金のたてがみをした馬に乗っていけばいい」
 王子さまが灰色オオカミの背に移ると、一行はドルマト王の国へと向かいました。それからどれだけいったことか、ドルマト王の国へ着くと、王子さまは町まであと三露里というところで灰色オオカミをとめて頼みました。
「親しい友よ、わたしの頼みを聞いてくれ。おまえはこれまでにも随分わたしのために尽くしてくれたが、ここでわたしの最後の頼みを聞いてくれないか。この、金のたてがみをした馬に姿を変えてほしいんだ。この馬と別れるのは嫌だ」
 すると灰色オオカミはすぐさま地面に体をぶつけたと思うと、もう金のたてがみをした馬になっていました。
 王子さまは麗しのエレーナ姫を緑の草原に残し、金たてがみをした馬になりすました灰色オオカミの背に跨って、ドルマト王の宮殿へと向かいました。
 ドルマト王は王子さまが金のたてがみをした馬に乗ってやってくるのを見つけて大喜びしました。外に飛びだしてきて広い庭で王子さまを出迎え、口接けすると王子さまの手をとって、白い石造りの宮殿へ連れて入りました。
 ドルマト王は大層な喜びようで、酒盛りの仕度をするように言いつけました。カシの木のテーブルに市松模様のテーブルクロスをかけた席に着き、まる二日、飲んだり食べたりの大騒ぎです。三日目になってやっとドルマト王は火の鳥を籠に入れて王子さまに渡しました。
 こうして火の鳥を手に入れた王子さまは、町外れで待っていた麗しのエレーナ姫とふたりで、金のたてがみをした馬に跨って、ウィスラフ王の待つ祖国へと向かったのでした。
 一方ドルマト王のほうはというと、その翌日、金のたてがみをした馬に乗って野原を駆けまわろうと思いたちました。馬に鞍をつけさせて跨り、いざ野原へいこうと馬に一鞭あてた途端、馬はドルマト王を振り落として灰色オオカミの姿に戻り、一目散に駆けだしました。そしてたちまち王子さまに追いついたのでした。
 こうして王子さまは灰色オオカミに乗り、エレーナ姫は金のたてがみをした馬に乗って、旅を続けました。やがて、いつか灰色オオカミが王子さまの馬を引き裂いたところまでやってくると、灰色オオカミが立ちどまって言いました。
「さて、王子さま。わたしはこれまでおまえに心から仕えてきた。ほら、ここがおまえの馬を真っ二つに引き裂いたところだ。ここまでおまえを乗せてきてやったが、ここで降りてくれ。おまえには金のたてがみの馬がいる。あれに乗っていくがいい。これでわたしの仕事は終わった」
 灰色オオカミはそう言うと姿を消してしまいました。王子さまは灰色オオカミとの別れを惜しんで涙を流し、美しい姫を乗せて馬を走らせました。
 こうしてどれだけ走ったことか、王子さまの国まであと二十露里というところまでやってきました。そこで王子さまは馬をとめると、エレーナ姫と一緒に木陰に入って、一休みすることにしました。金のたてがみをした馬を木に繋ぎ、火の鳥の入った籠をそばに置いて、柔かい草の上に横になりました。こうして仲良く話をしているうち、ふたりはいつの間にかうとうとと眠りこんでしまったのでした。
 さて、そのころの王子さまのふたりの兄、第一王子と第二王子はあちこちの国を探しまわったものの、結局火の鳥を見つけだすことができず、何も持たずに国へ帰るところでした。ところが思いがけないことに、ふたりの弟の第三王子が美しい姫と並んで眠っているところへ出くわしたのです。そばには金のたてがみをした馬が繋がれており、金の籠の中にはなんと、火の鳥がいるではありませんか。ふたりはすっかり嫉ましくなって、弟を殺そうと思いたちました。
 第一王子が剣を抜いて弟のことを刺し殺し、それを細切れに切り刻みました。そうしておいて、美しいエレーナ姫のことを起こして、
「美しい娘さん。あなたはどこの国の人で、誰の娘さんですか。名はなんというのですか」
 とあれこれと訊ねました。
 麗しのエレーナ姫は彼女が愛する王子さまが死んでいるのを見て驚き、はらはらと涙を流して言いました。
「わたしは麗しのエレーナ姫。わたしはあなた方に殺された第三王子のものです。あなた方が王子さまのことを野原へ連れだして、そこで戦って破ったのであれば、あなた方は立派な勇者といえましょう。でも眠っている人を殺すなんて、そんなことが誉められることでしょうか。眠っている人は死んでいるのも同じこと、それを……」
 すると第一王子がエレーナ姫の胸に剣を突きつけて、言いました。
「よく聞け、麗しのエレーナ姫。あなたの命は我々の手に握られている。これからあなたを父のウィスラフ王のところへ連れてゆく。あなたは、あなた自身も、火の鳥も、金のたてがみをした馬も、みんなわたしたちふたりが手に入れたのだと言え。それが嫌ならあなたの命はない」
 仕方なくエレーナ姫が言われたとおり話すと誓うと、第一王子と第二王子は、どちらが麗しの姫をとり、どちらが金のたてがみをした馬をとるか、くじを引いて決めることにしました。そして麗しのエレーナ姫は第二王子のもの、馬は第一王子のものということになりました。
 こうして第二王子は美しいエレーナ姫を自分の馬に乗せ、第一王子は金のたてがみをした馬に乗って、父のウィスラフ王にさしだす火の鳥を持って、国へ向かいました。
 ところで第三王子はちょうど三十日というもの、死んでその場に横たわっていましたが、そこへ灰色オオカミが通りかかり、王子さまの魂に気がつきました。ところが、王子さまを甦らせようにも、どうすればいいのかがわかりません。
 その時のことでした。一羽のカラスが二羽の雛を連れて、死体の上を飛んでいるのを見つけました。カラスは地面に下りて王子さまの肉を食べようと狙っていました。灰色オオカミは茂みにひそみ、カラスたちが下りてきて王子さまの肉に食らいつこうとしたところを、カラスの雛に襲いかかって、今にも二つに引き裂こうとしました。するとカラスが慌ててこう言ったのでした。
「やめてくれ、灰色オオカミ。おれの子に手をだすな。その子がおまえに何をしたというんだ」
「よく聞け、カラス。おまえがわたしのためにひと働きしてくれるというのなら、おまえの子に手をだすのはやめて、無事に帰してやろうじゃないか。遠い遠い国へ飛んでいって、生き水と死に水をとってきてくれ」
 するとカラスが言いました。
「よし、おまえの言うとおりにしよう。だから俺の子には手出しするな」
 カラスはそう言い残して飛んでゆきました。
 それから三日目のこと、カラスが袋をふたつくわえて帰ってきました。片方の袋には生き水、もう片方には死に水が入っており、それを灰色オオカミに渡したのでした。
 袋を受けとった灰色オオカミは、いきなりカラスの雛を引き裂いて、その上に死に水を振りかけました。するとどうでしょう。ふたつに引き裂かれた雛の体がぴたりとひとつにくっついたのです。その上から生き水を振りかけると、雛は羽ばたきをして飛びたっていったではありませんか。そこで灰色オオカミは王子さまの体に死に水を振りかけました。するとばらばらの体がぴたりとくっつき、その上に生き水を振りかけると、王子さまはむっくりと起き上がって、口を聞いたのでした。
「あーあ、よく眠った」
 すると灰色オオカミが言いました。
「わたしがいなかったら、おまえはいつまでも眠っているところだったんだ。おまえの兄さんたちがおまえを切り殺し、麗しのエレーナ姫も、金のたてがみをした馬も、火の鳥も連れていってしまった。さあ、祖国へ急ぐんだ。今日、おまえの二番目の兄さんがエレーナ姫と結婚することになっている。急いで飛んでいくにはこの灰色オオカミの背に乗ることだ。おれが送ってやろう」
 王子さまが灰色オオカミの背に跨ると、オオカミはウィスラフ王の国へ向かって駆けだしました。どれだけ走ったことか、町へと辿り着きました。王子さまは灰色オオカミの背から降りると、歩いて町へ入ってゆきました。宮殿についてみると、ちょうど兄の第二王子と麗しのエレーナ姫が結婚式をすませて戻り、祝いの席へ着いたところでした。
 王子さまが宮殿へ入っていくと、麗しのエレーナ姫が彼を見つけて飛んできて、口接けして叫びました。
「わたしの愛しい花婿は、この第三王子です。あそこにいる卑怯者ではありません」
 これを聞いてウィスラフ王が立ち上がり、エレーナ姫に、
「いま言ったことはどういう意味か」
 とお訊ねになりました。それでエレーナ姫はこれまでのことを残らず話して聞かせたのです。エレーナ姫を連れてきたのも、金のたてがみをした馬や火の鳥を手に入れたのも三番目の王子さまで、第一王子と第二王子は眠っている弟の王子を殺し、エレーナ姫を脅して、まるで自分たちの手柄のように言わせたのだということを。
 これを聞いた王さまは、第一王子と第二王子にひどく腹を立てて、ふたりを牢屋へ入れてしまいました。
 こうして第三王子と麗しのエレーナ姫はめでたく結ばれ、片時も離れていられないほど、それは仲睦まじく暮らしたということです。

 *ロシアの昔話「イワン王子と火の鳥と灰色オオカミ」より(斎藤君子さん・編訳/小峰書店刊)

 ――その時、武装テログループ『灰色のオオカミ』のリーダー、アスラン・アファナシェフはLが宿泊しているのと同じホテルから、クレムリンの様子を窺っていた。日本製のCDプレイヤーから流れるのは、ムソルグスキー作曲のオペラ、『ボリス・ゴドゥノフ』だった。そして彼の手には一冊の子供向けの本が握られている。
 コーカサス民話、<金のりんご>……なんと示唆的な童話だろうか。彼を含め今、ホテルの狭い一室にいる人間は全部で四人。その全員が彼の腹心の部下たちだけで固められた精鋭部隊である。チェチェンの地に再び金のりんごを実らせるために、みな命を捨てる覚悟で今回の作戦に加わった。名前をひとりずつ挙げておこう。イムラン・ザイツェフ、二十五歳。グローズヌイの掃討作戦で家族を全員失った。ジョハール・シャシャーエフ、二十三歳。ツォアン・ユルト村で両親や祖父母、姉や妹や弟を虐殺され、親類もなくただ彼ひとりだけが生きのびた。ルスラン・ラティシェフ、二十五歳。スタールィエアタギー村出身。彼の父親も兄弟もみな、軍の人間に拷問されて遺体となって戻ってきた。母親はショックのあまり狂死した。
 そしてひとつの目的で結ばれた彼らは今、仲間から連絡があるのを辛抱強く待ち続けていた。数日前にアスランがレオニードに語っていたとおり――ドミートリ・ザオストロフスキーに、そろそろ血の制裁が加えられる予定の時刻となっていた。
 ドミートリ・ザオストロフスキーは、今回のチェチェン戦争で(彼らの考えによれば)もっとも許し難い大罪を犯した張本人だった。彼は良い戦争――この場合の「良い」というのは、大義があるという意味での良い戦争――のイメージ作りのために、ロシアの国民向けに誤った印象を与える宣言ばかりをし続けた。略奪行為という名の<掃討作戦>、それを彼は<特殊作戦>と呼び、武装勢力を包囲して殲滅したと宣言したが、実際には当の武装勢力のリーダー格と目される人間が死んでも、チェチェンからロシア軍が撤退することはなかった。そして今も連邦軍による殺人、拷問、残虐行為、誘拐、略奪行為が、それがあたかも普通の人間の生活であるとでもいうように、当たり前に繰り返されている。
 そのお陰でロシアではいまだに、自国の軍がチェチェンで武装テロ組織を相手に<正しい戦争>を行っていると信じている人間が少なくない。レオニード・クリフツォフのように、命をかけてあらゆる手段で真実を報道しようとするジャーナリストは他にもいたが、ある人間は口封じのために殺され、また別のある人間は自分の身や家族を守るために口を閉じた……こうして、チェチェン共和国という地域は、誰も手出し・口出しのできない<聖域>と化していったのである。
 大統領補佐官であるドミートリ・ザオストロフスキーには、糖尿病という持病があった。そして彼は医師に診察してもらうために、定期的に病院へ通っていた。それはクレムリンの近くにある個人病院で、ザオストロフスキーはその病院の院長であるエフゲニー・コワレンコと患者としてだけでなく、個人的にも親しいつきあいがあったので、もう随分長いことコワレンコが院長を務める病院で治療を受けていた。だが、とうとうこの日、彼らの間の友情にひびが入る時がやってきたのである。
 アスラン・アファナシェフをリーダーにいただくテログループ、『灰色のオオカミ』のメンバーは誰も、同胞のためなら命を落とすことも構わぬ所存でモスクワ入りを果たしていたのだったが、準備だけは周到に怠りなく整えていた。エフゲニー・コワレンコはチェチェン出身のロシア人の医者だった。アスランはそのことを知った時、彼がどういう人間で、自分の故郷に対してどういった感慨を抱いているのかを、さりげなく近づいて調査していたのである。彼は今回のチェチェンで起きた戦争をとても嘆いていた……何故なら、現在もグローズヌイ市には彼の知りあいや親類がおり、また行方不明になっている者もいて、さらには彼の年老いた両親に至っては、最初の爆撃で亡くなっていたのだったから……。
 コワレンコ医師は、昔から父親と不仲で、彼が亡くなるまで絶縁状態といっていい親子関係だった。だが今ではそのことをとても後悔していたし、父親のために、また愛する母のために、せめて何か親孝行らしきものをしたかったと今も思っていた。アスランはのそのことを知った時――彼にある<協力>を願いでたのである。そしてコワレンコ医師は長い時間考えることもなく、アスランに対して首を縦に振ってくれた……。
 コワレンコはいつものとおり軽く世間話のようなものをしながら、ザオストロフスキーを診察した。血圧測定器で血圧を測り――彼は高血圧症で、糖尿病の薬だけでなく、降圧剤も服用していた――それから聴診器で心音を聴いた。あとは尿検査の結果を伝えて診察は何事もなく終わったかに見えた……薬のほうはいつものとおり、彼の秘書官が受けとって帰るということになるだろう。
 ただひとつ、いつもと違ったことがあったとすれば、ザオストロフスキーが病院の玄関をでるかでないかのところで、心臓のあたりを押さえて倒れたことだったろうか。彼はその時重度の心臓発作を起こしていたのだ。護衛官がすぐにコワレンコのことを呼び、ザオストロフスキーはストレッチャーで病院の中へ担ぎこまれた。だがコワレンコ医師の必死の処置にも関わらず、大統領補佐官殿はその日、不慮の死を遂げられたのである。

「……すみません、そちらはゲラシモフさんのお宅ですか?……そうですか、失礼しました。間違えました……」
 コワレンコ院長はザオストロフスキー大統領補佐官の死後、院内の自分の部屋からそんな一本の電話をかけた。相手はもちろんアスラン・アファナシェフである。間違い電話のパターンは三つあった。ひとつ目がたった今彼がした電話で、成功した場合には「ゲラシモフ」氏の名を、なんらかの不都合により失敗に終わった場合は「ラティショワ」、さらに想定外の不測の事態が起きた場合には「カタワーソフ」氏の家に間違い電話をかけた振りをすると、彼らの間では前もって取り決めがしてあったのである。
「ゲラシモフ」と、携帯の通話を切るのと同時にアスランが誇らしげに呟くと、他の『灰色のオオカミ』のメンバーたちは快哉を叫んだ。これまで虐げられてきたチェチェン民族の思いのほんの千億分の一程度の怨みが晴らされたように感じたからだ。もし、次のターゲットである国防省大臣の首をとることができたとしたら――その時はおそらく百億分の一くらいの怨みが晴らされる結果となるだろう……。
 だが今はとにかくこの秘密裏に進められた暗殺計画が成功したことを神に感謝しなくては。ガラステーブルを囲むようにしておのおのソファや肱掛椅子などに腰かけていた『灰色のオオカミ』の四人のメンバーたちは、トルコ製の絨毯に直接座りこむと、メッカの方角に向かって礼拝しだした。
「アッラーフ・アクバル」(アラーは偉大なり)――そう口々に唱えて聖地に向かって幾度となく頭を下げる。そして次の暗殺計画も何か障害が起きることなく無事成功しますようにと、心からの願いを祈りとして捧げたのだった。

 チェチェン戦争における「対テロ作戦」の広報担当、ドミートリ・ザオストロフスキー大統領補佐官の死の経緯は、実際には次のようなものであった。エフゲニー・コワレンコ医師はアスラン・アファナシェフの部下のひとりから直接、毒入りの聴診器を受けとっていた。彼はそれを手にしてなんでもないような顔をしてザオストロフスキーの心音を聴き――そして死に至らしめたのである。ザオストロフスキー亡きあとも、コワレンコ医師は特別後悔の念に苛まれることもなく、ただプーチン大統領お気に入りの補佐官の検死が行われることだけを怖れていた。もちろん、彼の死亡診断書には、コワレンコ自身の手で死因のところに「心臓麻痺」と書かれてはいたが、どんな物事にも<もしも>ということがある。だが結局、ザオストロフスキーの検死は行われず、気の毒な補佐官の死はTV等でもそう大きくは取り上げられなかった。五十四歳、働きざかりの男の突然の死、大体の国民は彼の死をそんなふうに受けとめたのではないだろうか。
 そして『灰色のオオカミ』、ふたつ目のターゲット、国防省大臣ワシリー・スハーノフ氏の死ぬ日時が近づいていた。アスランたちテログループの一派は、ザオストロフスキーとスハーノフの死んだ日時があまりに近くては、コワレンコ医師に無用な疑いがかかるかもしれないと懸念して――ふたりの死の間を三週間ほどあけることにした。しかし、ここでも彼らは常に慎重に事を運んだ。マフィアの人間を通じてプロの狙撃手を雇い、スハーノフの頭部を狙わせたのである。
 モスクワでは大まかにいって、地元に根を張ったマフィアとコーカサスグループと呼ばれる民族的マフィアがいると言われている。アスランたちはその中で後者のほうのマフィア――グルジア人グループのマフィアと接触し、多額の金を積んでプロのスナイパーを雇った。スハーノフは週に一度、必ずといってもいいほど都心の某所にあるロシア風サウナ(バーニャ)へ通っている。狙撃手は彼がそこから意気揚々として出てくるところを二十二口径のロングライフル銃によって撃ちしとめた。すなわち、スハーノフの頭と首に照準を定め、一分とかかることなく完全に目標を緘黙させたのである。
 このアルメニア人のプロのスナイパーは、目的を達成すると雑居ビルの屋根裏部屋からすぐに姿を消し、結局警察(ミリツィア)に捕まえられることもなく簡単に無事逃げおおせることができた。
 さて、それでは次なるターゲットを一体誰にするか……『灰色のオオカミ』の幹部たちは、モスクワ市内のホテルを転々としながら、慎重に策を練っていた。そして考えに考え、相談に相談を重ねた上で、まずは犯行予告のための文章を、大胆にもクレムリンに送りつけることにしたのである。

 <次はおまえの番だ>――『灰色のオオカミ』

 その文章がロシアの機密情報を守るためのレベルAのプログラム・プロテクトを破って政府機関の上層部の役人たちに通知されると、クレムリンではちょっとした騒動となった。その日の夕刻、大統領の命令ですぐに臨時会議が召集されることになり、クレムリンの一室にはそうそうたる面々が楕円形のテーブルを囲むこととなった。
 会議はまずロシア情報庁長官の長い説明からはじまったが、それはその場にいる半数以上のものには理解不能な内容だったといってよい。彼ら――リトヴィネンコ副首相、キーシン大統領府長官、スリプチェンコ首席補佐官、コモロフスキー連邦保安局長官、ロガチョフ内務省副大臣、ユマーチェフ対外諜報庁副長官、ツェムレンスキー非常事態省大臣、オルフョーノフ政府副議長、そして最後に先ごろ不慮の事故で亡くなった国防相ワシリー・スハーノフの代行を現在務めているマモーノフ国防省副大臣――は、ただひとつある一点の肝心なことのみを知りたかった。つまり、何故国家の機密情報がどこの馬の骨とも知れぬ輩に漏れたのか、ということである。
 スヴャトリフ情報庁長官は、自身の責任を追及されることを怖れるように、あえて難しいコンピューター・プログラムの専門用語を交えて今回の事件の詳しい経過とその説明を行っていたのだが、二十分にも渡る小難しい演説が終わったあとで、スタニスラフ・プーチン大統領以下の政府高官にわかったのは次のようなことだった。まず第一にコンピューター・ウィルス等の侵入によって機密情報が外に漏れた可能性は極めて低いこと、おそらく犯人は天才的なハッカーで、自身の才能に自惚れており、その腕前を見せつけたくて今回の事件を引き起こしたのではないかと推測されること……。
「そうは言ってもだね、スヴャトリフ長官」と、スリプチェンコ大統領補佐官がプーチン大統領の追及したいであろうことをまず代弁する。「長官の言葉の表現は極めて曖昧にすぎる。機密情報が漏れた可能性は極めて低いと言うが、どの情報が漏れてどの情報が漏れなかったか、長官には明確に説明することができるのかね?仮にこのハッカーがマフィアの人間だとして、警察関係のなんらかの情報を組織に高く売ったとする……あるいは軍内部の機密に関することでもいい。これから政府がそうした連中の強請りにあって、その情報を高く買い戻さねばならない事態になったとしたら、スヴャトリフ長官には責任がとれるのですか?」
「ですから、先ほども申しましたとおり」と、黒縁の眼鏡をかけたスヴャトリフ長官は、額の汗をハンカチで拭きながら申し開きをした。「政府のデータバンクに接触してきたのは一時的にその機能を麻痺されるタイプのコンピューター・ウィルスで、ある設定した時刻にすべてのコンピューターが一時的にフリーズされ、犯人の犯行メッセージが表示されるようになっているタイプのものなんです。言ってみればまあ、犯人の文章にもあったとおりこれはあくまでも単なる脅しなんですよ。実際、やろうと思えばプログラム・プロテクトを破った時点で、機密情報の入手は可能でした……しかし、その形跡や痕跡はまったく見られなかった。犯人はただ我々に自分の有能さを見せつけたかっただけなのではないかというのが、我々通信・情報庁の見解なんです」
「まあ、今後のこともありますし」と、同じ眼鏡仲間のユマーチェフ対外諜報庁副長官が、眼鏡を拭いてかけ直しながら、落ち着いた口調でスヴャトリフを庇いに入る。何もこの中で眼鏡をかけている人物が自分たちふたりだけだから……という理由ではない。彼らはかつてのような強いロシア、ネオソビエトを目指すという意味で、同志のようなものだった。「当局では職員全員に通達をして、パスワードの変更等の指示はすでに出してあります。コンピューターウィルスのチェックもしましたが、今のところ特に何も問題はありません。まあ、とりあえず我々SVRは、ということですがね」
 他のところはどうなのですか、というようにオルフョーノフ政府副議長のことをユマーチェフは抜け目なくちらと見た。彼はここへきた時からいかにも落ち着かなげで、会議のはじまる直前にはミネラルウォーターで胃薬を流しこんでいたからである。
「政府当局では……」と言いかけて、オルフョーノフは喉に何かが詰まったとでもいうように、幾度か咳払いをした。「いえ、政府当局でも今のところ、何も問題は生じておりません。政府職員全員にパスワードの変更等の指示もだしました。それよりわたしが気になっているのは別のことでして……」
 室内では少々暖房が効きすぎていたせいか、オルフョーノフもまた、ハンカチで脂ぎった額やてかった禿頭を何度も拭いている。
「別のこととは何かね、オルフョーノフ副議長」と、大統領自らが彼に話の先を促す。彼自身はまるで氷像か何かのように汗ひとつかかず、涼しげな顔をしたままだった。
「そのう、各省庁に送られた<次はおまえの番だ>というメッセージ……わたしのところにだけは少々別の内容のものが届いておりまして……」
 オルフョーノフはイタリア製の仕立てのいい背広の内ポケットから、一枚の白い封筒、そしてその中から一通の手紙をとりだした。そこに記されていた文面とは……。

<覚悟しておくがいい、オルフョーノフ政府副議長。貴様に心当たりはまるでないだろうが、いずれおまえはスハーノフ国防相と同じ運命を辿ることになる……逃げても無駄だ。  灰色のオオカミ>

「これは……っ!」
 政府高官たちは順番にその手紙を回し読みしていったが、受けとった人間ひとりひとりの顔の表情がさらに深刻で気難しいものへと変化していった。この脅迫文とスハーノフ国防相を暗殺した人物とは同じ人間、あるいは同一の犯行グループということになる。そしてこれでさらにオルフョーノフがなんらかの形で死亡したとすれば……次は自分の番かもしれないとの思いが、各人の脳裏をよぎったからである。
「まるで、ロシアン・ルーレットだな」と、それまで黙って話を聞いていたキーシン大統領府長官が、一同のざわめきをよそに不適な笑みを浮かべながらそう呟いた。彼は皮肉の利いたジョークというものが大好きで、こうした政府高官たちの集まる会議ではいつも同じ役どころを演じていた。つまり、まずは平時でも酔っているような赤ら顔のかっかしやすい質のスリプチェンコ首席補佐官が、問題となっている議題の一番まずいところを突つき(彼は一部の高官たちから裏でキツツキと仇名されていた)、会議がなかなかまとまらないと見ると、ちょっとしたジョークを交えつつ事態を鎮めにかかるのである。
「スハーノフ国防相を暗殺した犯人は大胆にも、オルフョーノフ副議長に次はあなたを殺しますよとわざわざ予告してきたというわけだ。そしてオルフョーノフが死ねば、次はここにいる誰かがロシアン・ルーレットよろしく殺害されることになると……『次はおまえの番だ』というメッセージはようするに、そういう意味として受けとれということだろう」
「それに、オルフョーノフ副議長宛ての手紙にも、犯人に繋がるメッセージが多少読みとれないでもない」と、リトヴィネンコ副首相が言葉を挟む。彼は元KGBの出身で、プーチンの帝国主義的民主主義に共鳴している人間のひとりであった。「この、<貴様に心当たりはまるでないだろうが……>という下り……これはようするに政府の行政に不満があるということだろう。オルフョーノフ副議長は穏健で、人から怨みを買うような人物ではない。とすれば、個人的に怨みはないが、国の行政に不満がある、その象徴として死んでもらうということなのではないか。犯人は少なくともマフィアの人間や富裕階層の市民ではないな。貧しく困窮している人間、あるいはイスラム教系のテロリストだ」
「わたしもそう思う」と、リトヴィネンコ副首相の腰巾着、ツェムレンスキー非常事態省大臣が相槌を打つ。彼はリトヴィネンコのプーチンへの口利きで、現在の地位を得ていたのだった。「先にあった劇場占拠事件のことといい――今回のこともまた、チェチェン系のテロリストの連中の仕業に決まっている。これでもし奴らが<例のこと>について、確かな証拠のようなものを得てみろ。ここにいる全員の首が飛ぶことになるぞ」
 ツェムレンスキーの口にした<例のこと>というのは、実に多くの問題を含んだ、ある事柄のことを指していた。たとえば、チェチェンへロシア軍が侵攻・駐留することに対して、正当性を与えるテロ行為に実は内務省や連邦保安局の特殊部隊が関わっているのではないかと噂されていることや、民主的で自由であるべき選挙に、これまた国の特殊機関が関わって不正を行っているのではないかと懸念されていること、さらに先日それらのそれらの政府への嫌疑について確かな証拠を持っているとマスコミに対して発言したある議員が突然、心臓発作を起こして亡くなったこと等など……コモロフスキー連邦保安局長官は、その議員を亡き者とするための実行部隊に直接命令を下していた人物だったが、今は隣のロガチョフ内務省副大臣と軽く目を見合わせ、互いの意志の疎通を確認しあうに留めておいた。彼らふたりのこの場においての思いは双子のようにまったく同じものだった。すなわち、もっとよく調査と検討を慎重に重ねてから、後日あらためて大統領に精確な報告書を提出するというものだ。
<例のこと>という禁句事項がツェムレンスキーの口から発せられるなり、その後、楕円形のテーブルを囲んでいた政府高官たちはしーんと沈黙に支配されたようになった。だが自然、それまで一度も重い口を開いていなかったマモーノフ国防省副大臣に全員が全員、まるで示しあわせたかのように視線を集中しはじめた。将軍として軍服に数多くの徽章をつけているマモーノフ国防省副大臣の胸中は、実際かなり複雑であった。彼ら政府高官たちの言いたいことはわかっているのだが、わざわざ口を開いて核心をつくようなことを発言するのは憚られたし、それは彼らとてよくわかっているはずのことだった。今は亡きスハーノフ国防相であれば、そうした<暗黙の了解>とも言える事柄に対してもはっきりと発言できるだけの力量と権力を備えていたが――マモーノフ副大臣は現在、自分が政治的にどんな立場にあるのかをまだ把握しきれていない状態だった。
「さて、同志諸君」と、ロシア政府の要である頭脳たちが意見をだしつくしたようだと見て、プーチン大統領は最後に総括的な決断を下すことにした。「例の怪文書のことは暫く様子を見ることにして――プログラム・プロテクトの強化については、アメリカに協力を要請したので、次期完全に解決するだろう――まずは次のターゲットと見なされているオルフョーノフ政府副議長の身辺警護を強化すべきとわたしは考える。それとホワイトハウスをはじめ、政府の要人ひとりひとりの警護レベルを5から4に引き上げるよう警備関係の全部署に通達をだす……それからもうひとつ。今回緊急会議を召集したのは、国防相の空席に次に誰をつけるかという話しあいのためでもある……わたしはマモーノフ副大臣が人選として極めて適切と考えるが、反対意見のある方は挙手を願いたい」
 会議場は依然としてしーんと静まり返ったままだった。前国防相というのは、プーチン大統領にとって最大の政敵といってもいい相手だったからである。つまり、誰も大きな声では言えないが、今回のスハーノフ国防相の暗殺は大統領にとって実に都合のいい死だったということなのだ。その次にその椅子に座る者は自動的に――大統領の操り人形よろしく動いてくれる人物なら誰でもよかったといえる。さらに言うなら、チェチェン戦争という問題をロシアが抱えている今、何かあった場合にすぐトカゲの尻尾よろしく首を切れる人間なら誰でも良かった、とさえ言えたかもしれない。
「ということは、異議なし、ということでみなさん構いませんね?」スリプチェンコ大統領補佐官が、一同の沈黙を賛成とみなして、その場の人間全員の意志をとりまとめる。「では正式な通達は明日にでも、ということでよろしかったでしょうか、大統領閣下?」
「同志諸君……マモーノフ副大臣……いや、マモーノフ新国防相に就任の祝いとして拍手を」
 プーチン大統領が椅子から立ち上がって拍手すると、それに続くようにリトヴィネンコ副首相、キーシン大統領府長官、スリプチェンコ大統領補佐官、コモロフスキー連邦保安局長官、ロガチョフ内務省副大臣、ユマーチェフ対外諜報庁副長官、スヴャトリフ通信・情報庁長官、ツェムレンスキー非常事態省大臣、オルフョーノフ政府副議長が、拍手とともにマモーノフ副大臣を新しい国防相として快く迎え入れた……とはいえ、内心では全員わかっていた。プーチン大統領にとってマモーノフは最悪の場合、ただの捨て駒として終わる結果になるだろうということを。

「全員一致で無事、マモーノフ副大臣の新国防相就任が決まってよかったですね、大統領」
 ネオソビエトを目指す政治的メンバーたちが会議場を後にすると、キーシン大統領府長官は最後にひとりだけ残って、そう皮肉げな笑みをプーチン大統領に向けた。アナトーリ・キーシンは、現在四十七歳の大統領よりも一回り年上だったが、プーチンのことをネオソビエトの皇帝(ツァーリ)になれる人物とみなして、彼のことを崇拝していた。といっても、プーチン自身に何かカリスマ的な政治的権力があるというわけではなく、彼が大統領になれたのも一重に処世術に長けていたからではあるのだが、これまでキーシンはありとあらゆる政治的な根回しをプーチンが大統領になる前から行ってきたのである。
「それより、あの石頭の頑固親父がいなくなったことのほうが、我々にとっては非常に有益だった……以前はみな、重要な発言についてはスハーノフの顔色を窺いながら行っていたものだったが、奴がいなくなってからは一体どうだ?これで暗殺されていた人間が他の――オルフョーノフのような、首のすげかえがいくらでもきく人間であったとすれば、こうはいかなかっただろう……正直いって、犯人のテロリストには感謝しているくらいだよ。一番邪魔な政敵を消してくれてね」
「やはりあなたも、犯人はテロリストだと思われますか?」
 キーシンは考えごとをする時の癖で、口許の髭のあたりに手をやった。大統領は自分の政治的分身ともいえる、キーシンにだけは本音を洩らしても大丈夫だと考えて――これから起きるであろうと想定されることを、慎重に言葉を選びながら話しはじめた。
「いいか?テログループの名前は『灰色のオオカミ』だ――オオカミと聞いてわたしはすぐにピンときたよ……チェチェンにはアルグン渓谷、我々連邦軍が別名『オオカミの門』と呼んでいる場所があるじゃないか。石油採掘と石油精製の重要な拠点として、そこを支配下に置くために武装勢力と連邦軍との間で、すさまじい戦闘が行われた場所だ。相手はチェチェンの武装テロ組織とみてまず間違いはないだろう……とはいえ、奴らもスハーノフを殺したことが、敵であるわたしにとって実に都合が良かったとは知らなかったようだな。無知な山岳民族の豚どもめ」
「しかし、スハーノフの暗殺がチェチェン人の手によるものであったとしたら、これからまた大変なことに……先ほどあったばかりの、劇場占拠事件のこともありますし……」
「確かにあの時はわたしも焦ったが」と、大統領は青白い顔に酷薄な笑みを浮かべて言った。「奴らはテロや暴動を起こすことによって、実はますます自分たちの首を絞めることになるとわかってないんだ。テロというものはいかなる理由があっても許されざる行為――世論はそちらのほうに傾いているし、我々の手でも必ずそうなるように仕向けてゆく……そういうことさ」
「では、オルフョーノフのことは……」キーシンは言わずもがなのことをあえて大統領に訊いた。
「一応、彼の身のまわりには警護の人間を増員するようFSO(連邦警護局)に指示をだしたが、最悪の場合、彼が亡くなってもある意味仕方がないだろうな。わたしにとって今彼は、時間を稼ぐためのただの駒だ……連中がどういう形でオルフョーノフのことを殺すのかがわからないことには、次の手を打ちようがない。もしそれが毒殺というようなことであれば、うまくすれば死因をごまかして病死に見せかけることもできるだろう。だが、一番厄介なのは誘拐だな。オルフョーノフの命と引きかえにチェチェンから手を引けと言われても、我々は強硬な断固たる姿勢で望むしかない。その結果、気の毒なオルフョーノフが死のうともだ。しかし一番厄介なのがマスコミ……メディアの連中だ。必ず奴らはスハーノフの死とオルフョーノフの死を関連づけ、それ以前に各省庁に怪文書が届いていたことも嗅ぎつける……キーシンが先ほど会議で言っていたことはまったく正しいよ。これはまさしくロシアン・ルーレットだ。オルフョーノフが死んだあと、次に誰の番がまわってくるのかわからない」
「……………」
 キーシンは大統領同様、オルフョーノフ政府副議長が仮に死んだとしても、痛くも痒くもなかった。だが問題はその次……再びモスクワ市内がテロ騒ぎで騒然となることだけは当分避けなければならない。そういうことだ。
 ふたりはその後、ロシアン・ルーレットに当たって死ぬ人間の可能性について随分長いこと時間をかけて話しあった。当然、政府内にはオルフョーノフ政府副議長同様、いくらでも首のすげかえが利く人間と、政治的パイプ上、死なれては困る要人との二種類が存在する。プーチンとキーシンは盤上でチェスをするように、綿密なシミュレーションを行うと――誰それが死んだ場合には、代わりに××を大臣に、いや彼にだけは何がどうあっても死なれては困る、といったような――まずはオルフョーノフが捨て駒としてどのような死に方をするかを黙って静観することにした。テロリストどもの警告がただの脅しだけで終わる可能性だってある……一応、身辺警護の護衛官たちには怪文書のことは話してあった。そして毒殺の場合には、うまく隠せるようなら病死に見せかけるように、またスハーノフ同様狙撃されることがないよう十分警戒するようにも伝えてある。誘拐の可能性もゼロではないが、護衛官たちの厳重な警戒態勢の間を縫って拉致される可能性は低いと見ていい。いずれにしても、オルフョーノフが死ぬにせよ、生きるにせよ、どちらに転がっても、プーチンやキーシンにダメージは少なかった。あるとすればマスコミからだったろうが、穏健な人柄で知られるオルフョーノフが死ねば、どうしたってテロリストは社会的に孤立せざるをえない立場に追いこまれる……そうなれば、テロに屈しないロシア、鉄の手を持つロシアというイメージが世界のメディアを通して浸透していくさらなるステップとなるだろう。
 ロシアで現在最高位にある政治権力者の彼らは、ネオソビエトの建国を目指していた。ようするに、経済上・外交上は民主主義を装いつつも、体質的には共産主義時代となんら変わらない政治国家を築くこと――それしか再びロシアを超大国に押し上げる方法はないと考えていた。そしてプーチン大統領は信心深くクレムリンのそばにある寺院を訪れては、神にこう祈っていた。超大国としてのロシアの再興、それを邪魔する者――テロリストを含め、新興財閥(オリガルヒ)やその他政府内部の敵対分子の一掃、プーチン政権のアキレス腱とも言われる第二次チェチェン戦争の理想的終結、ロシア経済の安定及び繁栄のことなどを……だが、彼が心の中で神に祈り求めていたのはあくまでも、ロシア人のための、ロシア人によるロシア人だけの単一民族国家としての繁栄であって、そこに他のカザフ人、キルギス人、タジク人、ウズベク人、トルクメン人、タタール人、バシキール人、グルジア人、アルメニア人、チェチェン人、イングーシ人……といった、ロシア人以外の民族の繁栄などは一切含まれていなかった。彼がそうした他民族に対して持っている考えというのは、以下のようなものである。彼らは決してロシア人よりも優位な立場についてはいけない、表面上はどうあれ、強き大国ロシアに常に支配され、屈服する民族であってもらわねば困る……もしそうでないならば、彼らからは搾取できるものはできるだけ搾取し、そうできない場合にも利用できる状況下においては少ない代価で徹底的にでき得る限り利用する、それが大統領が近隣の独立国家や他民族に対して持っている考えであった。
 そして彼は、スハーノフ前国防相の暗殺に対しては、神が怖れ多くも自分の祈りに答えてくださったに違いないと考えて――イエス・キリストの描かれた聖像画(イコン)の前にひれ伏して、心からの感謝の祈りを捧げていた。大統領にとって有能であると同時に大切な同志であり、お気に入りでもあったザオストロフスキー補佐官の死は確かに手痛いものではあったが、彼は病気によって気の毒にも神に召されてしまったのだとプーチンは考えていたし、結局のところ別の<お気に入り>に首をすげかえればすむだけの話でもあったので――彼については先日亡くなった時にただ一度、昇天のための祈りを捧げただけであった。そしてそのあと大統領は、彼の顔を思いだしもしなかったのである。

 
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【2007/11/15 14:57 】
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